【セラピストインタビュー】グレイトマウンテンズ・岩田 記子さん

一人ひとりの“物語”に触れるアートワークセラピストへ

 

自分がワクワクすることを追求し、憧れのセラピストへ

私がアートセラピーに出会ったのは20代後半の頃。元々はIT企業に勤めており、子どもやアートとは全く接点のない暮らしをしていました。
カウンセリングに興味を持ったことをきっかけに、アートセラピーの勉強をスタートしましたが、そこで出会った先輩セラピストの方がとてもキラキラしていて。「私もあの仲間に入りたい!」と強い憧れを抱きました。

ちょうどその頃は、自分の人生を見つめ直していた時期でもありました。改めて自分と向き合って気付いたことは、これまで「得意なこと」と「好きなこと」が一致していなかったということ。

たとえば、得意でお金を稼げるのは、私の場合、おそらく事務の仕事。でも、その仕事をしている自分が生き生きしていたかと言われると、そうではなかったように思います。これからは本当に好きなこと、自分がワクワクすることだけをやろうと決意し、セラピストの活動を始めました。

 

「自分だけの世界」を大切にできる場を作り続けたい

初めて自分でアートワークセラピー教室を立ち上げた当初は、先輩たちの楽しそうなクラスとの、自分のクラスとのギャップに戸惑いや焦りがありました。子どもが出してくれるエネルギーに対しても、どのように関わればよいのか分からず、いつもドギマギしていました。

しかし、子どもたちと接するうちに、だんだんと自分が子どものときのことを思い出すようになったのです。
私はマイペース、かつ、怖がりで慎重な子どもだったのですが「こういう遊びが好きだったな」「こんなことをしたら楽しいかな」と、“子どもの頃と自分”とも相談しながら進めるうちに、ゆっくり時間をかけて私らしい教室になっていったと感じています。

セラピストによって、集まる子どもたちの性質や教室の雰囲気は少しずつ異なります。私の教室は、自分の世界を大切している子が多いですね。プログラムも、自分の世界に没頭する時間を必ず設けています。

子どもとの関わりも変化し、子どもたちにとって“しっかりした大人”ではなく、“変な大人”でありたいと意識するようになりました。
あまりのマイペースぶりに、ときに小学生の子どもたちに「今はそんなことやる時間じゃないです!!」と怒られたりもします(笑)。でも、人生のなかでたまには変わった大人が登場するほうが、きっと面白いですよね。

 

アートのなかには、その人の“物語”が詰まっている

私は現在、子ども未来研究所のアートワークセラピー教室のほか、アートセラピーを用いた社会人研修や保育園での講師など、広く活動しています。

子どもから大人まで、さまざまな世代の方を対象にアートワークセラピーの知恵を用いたプログラムを提供していますが、どの現場でも共通して好きな瞬間は、「一人ひとりの“物語”に触れられたとき」です。

アートを通じてたくさんのお話をします。お話しするのは、「どんなアートを作ったか」だけではありません。
例えば、周りから「この山は光っているように見えるね」と感想をもらったとき、「実は、過去に見た山がこんな風に輝いていたんだ!そのときこんな体験をしたんだ!」と、大切な思い出をお話ししてくれる方がいます。なかには、一見、そのアートとは全く関係ないように聞こえるお話を、目を輝かせながらお話してくれる方もいます。その方の中で、その日のテーマによって何かが呼び起されたのだと思います。

アートとして表現し、さらにアートでは表しきれなかった思いを言葉にするとき、そこにはその人だけの物語が詰まっているようで、とてもワクワクするのです。

そして、自分の人生に寄り添い、自分の気持ちを言葉で表現するための力を、アートが与えてくれていると感じています。

 

「ずっと言いたかった言葉」には、エネルギーがある

思い返してみると、私自身がアートセラピーを学んでいたときも、アートをした後にお話をする時間がとても好きでした。「アートが好き」というよりも、「人生の物語に触れたい」から、セラピストを続けているのかもしれません。

セラピストとして現場にいると、「ああ、この人は、この言葉をずっと話したかったんだな」と感じる瞬間に出会います。どんなに表面的な言葉を探り探りしながら話していたとしても、本当に伝えたい言葉には力強いエネルギーがあり、思わず圧倒されるものです。

「これが言いたかった」という言葉は、誰の心にもあると思います。
そして、本当の気持ちを否定せず聞いてくれる人がいることで、心が成長し、自分の芯ができると私は思っています。

自分の世界、自分の物語を大事にできる、そんな場をこれからも作り続けていきたいです。

 

文:ライター舘岡美香

 

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