子ども未来通信第41号 アートセラピストのアハハコラム

子どもたちひとり一人が、自分を認めて、お互いを認め合う世の中を創り出すこと
子ども未来通信は、子ども未来の活動内容やアートセラピストの視点から語る子どもたちの様子や心の成長などをコラムを通して皆様にお届けしていきます。

アートセラピストのアハハコラム

子どものおもちゃどうしてますか?

今回は、息子が小学校に入学して初めての日、おもちゃの刀を出先に持って行くという行動をしたので、その話から発展して子どものおもちゃと遊びについて書いてみます。

 

刀を持ってスーパーに!?

入学式の次の日、学校から帰宅した息子は、息を弾ませていました。
そして、しまってあったおもちゃの刀を突然取り出し振り回し始めました。

それもすごく真剣な表情で。いままで大して遊んだ事もなかったのに。

お昼を買いに行きたかった私は、息子にスーパーにお買い物に行こうと誘うと、その刀を持っていくといっておもちゃの刀を腰に携えました。
私は、普段から息子のこういう行動は言葉にならない言葉の表現だと受け取ることにしています。何か息子の中で、戦うような気持ちでいたのかもしれないな、などと想像して「スーパーの中や人にはそれを振り回さないこと」と約束だけして持って行くことを許しました。息子はスーパーに行きがてら見えない敵とたたかいながらスーパーに行きました。

帰宅すると、更に見えない敵と戦いっていました。そして激しく戦ったためその刀は折れ曲がっていました。その後それ補強するように、テープを巻いて丈夫にしていました。

 

どんなことにも理由があると言う視点

子どもは何か特別なことや自分にとって、ショックなこと刺激のある体験をしたときそれを整理するためにそれを取り入れた遊びをする事があります。

その時もそうだったのではないかと後にわかる出来事があります。

私は、その様子を見て、学校で結構がんばっていたのかな?と想像して見守っていました。
不思議とその行動はその一日だけで、刀をスーパーに持っていくことはありませんでした。

しかしそれから数日後、実は前の席の友達が、ちょっと攻撃的なお子さんで、ノートにつばをつけて、ぐちゃぐちゃにしてきたり、ちょっとしたことで激しく怒ったりすることがわかりました。
それがわかってからは、息子と話し合って、一緒に解決出来たのですが。初日のあの行動はもしかすると、折り合いをつけるためにやっていた行動かも知れないなと思いました。

 

進化する遊びという名の表現

そしてこの刀はそれから何回か小学校を卒業するまで突然に、カスタムされていきました。鞘と刃を繋げて長くしたり、さらに補強され丈夫になりながら進化を遂げていました。

私は、その刀は彼が社会生活に出て行くときの心のアイテムのような気がして勝手に捨てたりはせず、いつも部屋の隅っこに置いていました。

時を経てその刀は、捨てられる日が来ます。それは中1の、春休みのことでした。

私は毎回春休みに、ゴミ袋を渡し、いらないものを袋にいれて整理するように伝えていました。「これ捨てて。」みるとあの、カスタムされていった刀でした。
最後の刀は、長さは元に戻り、ただ頑丈にテープがきれいに巻かれたものに進化を遂げていました。私はなんだか感慨深くその刀が捨てられていくのを見ました。

不思議ではありませんか?
入学した次の日、腰に携えてスーパーに連れて行った刀。
それがどんな意味でどんな役割をしていたかは想像するしかありませんが、捨ててもいいものに変化するって。

 

親の価値観を見直す

親から見たら、どうでもいいおもちゃってあります。
でも私はおもちゃだけは子どもが捨てるその日まで、適当な感じの小さなものも、勝手に捨てたりはしないようにしています。遊びは心の成長と直結していると思っているからです。
アートセラピーで扱うアート表現も同じで、それは心の言葉であり表現であり成長を助けてくれるものでもあります。

アートの中にはその刀のように、形を変えながら進化し、子どもをサポートしてるアートがあります。
そこには成長のものがたりがあります。
親が立派に描けたと思っても子どもにとってはもう必要のないアート作品もあります。
その逆もしかりで、親にとってはこんなものと言うメモ紙が実はその子どもを大きく成長させてくれている表現かも知れないのです。

アートセラピーのアプローチであえて自分がそれまでにつくった作品を捨てていいものと、とっておきたいにわけてみるというものがあります。

そのプロセスはとても神聖なもので、自分はどう生きていきたいかその種を得るような体験です。
自分には何が必要か人生には選ばなくてはならい大切な時もあります。
その捨てるも捨てないも決める行為はその大切なときの練習をしていると思って、たかがおもちゃですが、私には一緒に子育てをしてくれている一員のように思えるのです。

 

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう